アム・アレーンの大罪喰い討伐に、普段ならなんだかんだと理由をつけて付いてくるエメトセルクが一度も姿を表さなかった。 視界の届く範囲にいるとつい目で追ってしまう私としては目的に集中できて有り難かったが…それほどまでに彼…
【光公】求めず与えず受容する【手触り4】
英雄は伸ばす腕を持たず レイクランドに罪喰いの不可解な襲撃があったその日、水晶公は英雄の自室の前にいた。 クリスタリウムの防備に集中していてタワーから離れられなかった水晶公に、レイクランドの前線で戦ってくれていたか…
【エメ光】生きるために死んでいく【手触り3】
物言わぬ英雄は前すら見据えない。 その英雄を見つけたのは、ムジカ・ユニバーサリの上空に梁のように備え付けられた天井回廊の上だった。まるで人を避けるようにふらふらと覚束ない足取りで歩く英雄は、罪喰いたちの不自然な襲撃と…
【公光】手触り【手触り2】
「おかえりなさい」 クリスタリウムに戻って早々に部屋で休め! と居住館に押し込められたものの、そう言えばマーケットを覗いておきたいのだったとするりとドアを抜け出して。管理人さんに直ぐに戻るよとだけ声をかけてペンダント居…
【エメ光】手触り
「…あなた、そのクセまだ治ってなかったの?」 スリザーバウで久方ぶりにヤ・シュトラと再開した闇の戦士とそのご一行は今後の方針を彼女の自室で話し合っていた。 互いの持つ情報を交換していたのだが、当の本人であるミコッテ族…
【エメ光】花は揺蕩う【記憶の彼方/欠片の記憶】
思えば一体どれほどの時間を1人耐えていたのかと思う。 キタンナの洞窟で告げたように、生き残ったアシエンは3人いたが3人ともが全く同じ思いで事に当たっていたとは思えない。 少なくとも私は……失った同胞を取り戻すという…
【エメあの】不死鳥とキミ
「……説明を要求してもいいか」 普段の三割増で声のトーンを落として目の前でへらりと笑う男を睨みつける。 平和で平穏、変化もないはずのアーモロートの日常に今日もまた頭痛の種が撒かれた。 「いや、これに関しては事故だよ?…
【エメ光】見つめる夢幻【記憶の彼方/欠片の記憶】
どうしよう、どうして、どうしよう。 頭の中はずっとぐるぐるしてる。あぁ、考えることをやめたい。 すごく、すごく混乱してるのに、妙に冷えたもう1人の私がそれを見ているような感覚。 こうなると手は動いてても何かを作り上げるこ…
【エメヒュあの】染まらぬもの
それは生まれたての何ものにも染まらない色をしていた はじめてあいつをみた時の印象は今でも忘れない。 おおよそ平均よりも小さな体全体に纏う圧倒的なエーテルの渦。さまざまな色形をしたそれに染まらない魂の色。 よく言え…
【エメ光】欲の果て
「…相変わらず死に急いでるな」 レイクランドの廃村の倉庫に押し込まれて固い木箱に押し付けられたまま、降りてくる声に顔を上げる。打ちつけられた木枠の隙間から漏れる光がふたつの人影をひとつにする。 「…うん」 背中に感じ…