「ふぅ……んっ……はぅ……」
 ぴちゃぴちゃと淫らな水音。堪えくぐもる声。
 ギシリと音を立てるベッド。重なり合う2つの影。
 少女は恥ずかしげにミコッテ特有の耳を伏せながら、一心に目の前のいきり立つ欲望を舌で愛撫していた。先端に舌を当てグリグリと動かした後そのまま口の中に迎え入れる。
 その少女の頭を優しく撫でる手が下りてくる。青く透き通った水晶の右腕が愛おしいと愛を囁きながら少女の頭を撫でる。
 普段はフードを目深に被り表情が窺い知れない青年の顔も、今は顕となり快感に頬を染めている。
 時折咥えたまま下から見上げる。どこが気持ちいいのか探るように、舌を這わせ口中で舐り吸い上げる。少女の動きに合わせてビクビクと強く脈打つ青年の欲望を、追い上げるように攻め立てる。
「……っつ……待っ、て…」
 口内から一度解放されたところで、グ・ラハ・ティアは少女の頬に手を添え上向かせた。
「……きもち、いい?」
 上目遣いにそう尋ねる。小首を傾げて尋ねる姿も愛らしい。
「…良すぎて、ダメだ…」
 そっと少女の頬に両手を添える。上向かせ引き上げその額に自身の額をこつんと合わせる。
 荒い息を整えながら、彼は少女を立ち上がらせる。促され立ち上がった少女を抱きとめ、ゆっくりとベッドの上に押し倒す。
 キスを降らせながら少女の股の間、秘部を弄る。すでに愛液を滴らせたその場所はラハの指を苦もなく受け入れる。
 少女の喉が跳ねる。先程までこちらを攻め立てていたその口から愛くるしい嬌声が響く。
「ふぁぁ……っあ……んぅ……」
 入り口を撫で、花弁を擦り、少女の中に指を沈める。つぷりとした感触と共に少女の内壁がねっとりとラハの指を迎え入れる。
「……すごく、濡れてるね」
 耳元で囁けば、恥ずかしがるようにかぶりを振る。くちりと響く淫らな水音がさらに2人を追い立てる。
「……ふぁ……っあぁ……」
 少女の両手がラハの頬を包む。
「……ラハ…おね、がい…」
 今はもう彼女しか呼ばない名前を呼ばれ、ぞくりとする。
「…どうして欲しいんだい?言ってごらん」
 その唇にキスを降らせる。触れては離れる動きの間にもラハは少女の中を指で攻め立てる。
「…っ! …あぅ……ラハ…ラハ…っ!」
 熱に浮かされたように何度も名前が呼ばれる。その度に青年の中の雄が顔を覗かせる。目の前の愛しいものをどこまでも犯し尽くしたいと鎌首をもたげてくる。
 その獣を必死に抑えながらラハは少女に促す。
 何度かかぶりを振ったのち、少女の口からおねだりがされる。
「……ラハ…っ! ラハの……ちょうだい…っ!」
 よく言えましたと唇を塞ぎ舌と舌を絡める。吸い上げるように口内を嬲りながら、体を動かす。
 少女の蜜壺にいきり立つ自身をあてがう。二度三度少女のそこを先端で撫でる。
「……いくよ」
 ラハはゆっくりとした動きで少女の中に侵入した。

 数刻前。クリスタリウムペンダント居住区、英雄の部屋で。
 目の前には上機嫌の少女。招かれた水晶公はその少女の様子を見て嬉しそうに微笑む。
 世界に闇が戻り、人々が夜の帳が降りるのを当たり前に受け入れられるようになってきたとある日、少女は公務を終えた水晶公を自室に招き入れていた。
 普段は決して見せないはしゃいだ様子に嬉しくなると同時に胸が痛くなる。彼女に英雄としての振る舞いを強要していたのも自分なのだという事実を知っているからこそ、水晶公はその少女の様子に胸が締め付けられる。
 本来の少女は何にでも興味を持ち、手に触れ、くるくると表情を変えながら話す目の前のそれなのだろう。貼り付けた笑顔の英雄はそこにはいなかった。
「それでね、アルフィノってばね…」
 水晶公…いや、グ・ラハ・ティアが原初世界でクリスタルタワーと共に眠りについてからここに至るまでの話を、彼女は身振り手振りを交えて伝えてくれる。
 ドラゴンとの死闘、悲しみを背負った聖女、青い鎧の竜騎士、散っていった友。アラミゴから東方へ、遊牧民との邂逅、ドマの若き君主、憎しみを背負った遊女、神龍と合体せし男…
 たくさんの登場人物と共に彩られていくそれは、時に楽しく時に悲しく少女の視点で語られた。
「本当に…色々あったんだね」
「…うん」
 その全てを背負って、彼女は今ここにいる。
「辛いことも大変なこともいっぱいあったけど…でも、後悔はしてないよ」
「…良いことだ」
 静かに水晶公も笑う。
「あなたにも…色々あったんでしょ?」
 問われて、ふむと考える。確かに色々あったが、彼女とはそもそもの年月が違う。それを全て語るのもなんだか気恥ずかしい。
「そうだね…色々あったよ」
「街を一個作っちゃうぐらいだもん、色々じゃすまないよね」
「私が作ったわけではないのだが…」
 同じようなものだよ、彼女はそう言いながら上機嫌に耳をぴこぴこと動かす。
「ね、疑問だったんだけどさ」
 少女の瞳が好奇心でキラキラ輝いてる。
「これだけの街を起こしたってことは、もうあなたはティアじゃないってことなのかな」
 ティア、それは原初世界において群れを持たないミコッテのオスの呼び名だ。群れを持ち子孫を残すものをヌン、群れを持たない自由人をティアと呼ぶ。
「いや…私は永遠にティアのままだし、その名前はもう…」
「え、なんで?これだけの大きな街をまとめあげてるならヌンじゃないの」
 彼女自身も群れに縛られないタイプのミコッテであるが故か、どうも話が合わない。おそらく彼女は勘違いをしている。
「ヌンとは、群れを持ち子孫を残す者のことだ。…わたしは子孫を残すことが出来ないだろうしね」
「ライナとか、この街で生まれた人がいても?」
 なるほど、と納得する。彼女はヌンの「子孫を残す」というところを群れ全体としてみている。
「あくまで、そのオス自身の子孫を残すか、ということだからね。たとえここが私の縄張りだとしても私自身が子孫を残す選択を取らない限り、私は永遠にティアのままなんだよ」
 水晶公は微笑みながら付け加える。
「そう言ったものの煩わしさから逃げるために賢人となった側面もないわけではないから…私はやはり永遠に自由人なのだよ」
 彼女は納得したような声で生返事をしている。意識が微妙にずれていることに疑問を覚える。心なしか彼女の顔が赤い。
 はて、ここまでの会話で何かあっただろうかと考える水晶公に、少し小さな声で少女が尋ねる。
「グ・ラハ・ティアは、子孫、残さないの?」
 問われた言葉を脳内で3回リピートする。少女の顔が真っ赤に染まっている。
「…年寄りを、あまりからかうものじゃ…」
「かかかからかってないよ!!」
 思ってたよりも大きく出た自身の声にびっくりするように彼女は自分の口を押さえた。
「そもそも私はすでにタワーのパーツの一部だ。恐らくこの体にはそう言った機能はないよ」
 努めて冷静にそう答える。英雄殿の好奇心は聞き流そう、いっときの迷いに流されないように…そう決意する水晶公の覚悟に彼女は踏み込んでいく。
「機能とか、そうじゃなくて!」
 少女の耳と尻尾がせわしなくパタパタと動いている。
「そうじゃなくて、その……」
 言い淀む少女はうーっと唸った後、さらに小さな声で言う。
「あなたと……したいの」
 耳を疑うとはまさにこのことだろうか、彼はぼんやりとそう考える。憧れの人が自分を求めていると言う事実に揺らぐ決心を、最後の力で押しとどめる。フードの端を抑えて目深にする。
「私はもう、人ではないから…」
「人だよ! いるよ! 私の目の前に!」
 少女の手が私に触れる。迷うことなく水晶公のフードを取り払って少女はまっすぐ彼を見つめた。
「フードで隠さないで、私をちゃんと見て。私は、ラハ、あなたとしたいの…!」
 触れ合う肌が熱い。水晶公の赤い瞳と彼女の視線が交わる。
「それとも…私の事きら」
「きらいなもんか!」
 彼女が言い切る前につい声に出てしまった。
「…好きだよ。ずっとあなただけを見ていたんだ。でも、だから、ダメなんだ」
 水晶公とグ・ラハ・ティアと2つの間で心が揺れる。彼女を導く者として彼女を追いかけた者として、せめぎ合う心をなだめる。
「わたしも、好きだよ」
 ダメなんだよ、小さく呟く水晶公の頬に彼女の細い指が触れる。
「私は、君を喚びよせて戦いに差し出した愚かな男なんだ。そんな私があなたと共にある資格なんて…」
 少女は口を塞ぐように水晶公を抱きしめた。百合の花にも似た少女の香りに脳がクラクラする。
「ラハは、したく、ないのかな」
「そんな…!」
 思わず言いかけて口をつぐむ。そんなことはないと言ってしまうのは簡単だ。
「…あなたが、とても魅力的な女性なのは知っている。でも、それでも」
 少女が水晶公の頬に両手を添えて顔を上向かせる。
「ねぇ、ラハ」
 困ったような顔をする水晶公に少女は告げる。
「水晶公じゃない、私と冒険した時の、たった1人のグ・ラハ・ティアと私は、ひとつになりたいの」
 潤んだ瞳が見つめてくる。押しとどめていた感情の壁を、彼女は軽く飛び越えて彼の本心に抱きつく。
「…オレ…と」
「うん、あなたと」
 鮮やかに花が綻ぶように少女は笑う。
「…後悔、するかも」
「ラハが?」
「…キミが」
 くすくすと笑う少女の声が耳をくすぐる。
「後悔なんて捨てていくわ」
 強く言い切る少女の唇が、水晶公の唇に降りてくる。触れ合う唇の感触が柔らかく心地よい。
「止まれないよ?」
「止まる気もないよ」
 水晶公は少女の唇に自身の唇を重ねた。最後の壁は、もうなくなっていた。

「あぁっ…! あぅっ…!」
 抽送を繰り返して少女の感じるポイントを探る。シーツを握りしめかぶりを振る少女に何度もキスを降らす。
 その唇を肌に沿わせる。首筋から肩を通り鎖骨を撫で胸の膨らみに吸い付く。
「ひあぁっ…! あぁっ…!」
 ビクビクと跳ねる身体に、その奥に自身を何度も叩きつける。
 既に幾度かの射精をしているはずなのに衰えることがない自分自身に驚愕する。押さえ込んできた欲が全身に快楽を届ける。
 そっと胸の突起から唇を離す。うねり絞るような少女の内壁の絡みつきが、幾度目かの射精を促してくる。
「……出すよっ…!」
 声に反応して、少女がこくこくと頷く。見届けるより早く、彼女の最奥に深く差し込み自身の欲を叩きつける。入りきらず溢れた性液がシーツにシミを広げていく。
 肩で息をする少女の上に覆い被さるようにラハも体を預ける。まだ繋がったままのそこがぐちゅりと音を立てる。
 あまりにも甘美な少女の香りに、まだイケると彼の中の雄が告げる。
「……うぁん……」
 自身の中でまた大きくなるそれに反応してラハの下で少女が身じろぐ。
 その瞳が困惑で染まる。
「…お年寄り、とは、思えないんだけど…」
 絶え絶えな息の合間に少女が告げる。
「…私としても困惑してるのだけれど…」
 一度少女の中から自身を引き抜く。その快感に少女の口から吐息交じりに嬌声が漏れる。
くるりと少女をうつ伏せにして、未だ衰えを見せない自身をあてがう。
 出来る限りゆっくりとした動きで少女の中に沈め込んでいく。少女の喉を喘ぎ声が震わせる。
「……っふぅ……あぅ…」
 さすがは冒険で鍛えた身体、何度も果てたはずのそこは、それでもまだ力を失わずラハを締め付けた。
 奥の奥まで入れこんで、ラハは少女の上に体を預けた。触れ合う肌の熱が心地よい。
「…ひとつの、仮定をたてるなら」
 うねるように絡みつく少女の内壁からの刺激を受けながらラハは動かない脳を働かせる。
「…私がこうして動いてることに反応したクリスタルタワーが、私にエネルギーを送っている…気がする」
 ただの気のせいだし、タワーのパーツというより外部端末の一部でしかないラハに、タワーからエネルギーを送り込む機能があるとは思えない。
「…そんなこと、ある…?」
 自身の中でまた大きくなるラハを感じてくぐもった声をあげながら少女が言う。
「…ないかも」
 照れ隠すように、刺さったままのそれを抜き差しする。少女の甘い嬌声にくらくらする。
「…キミが魅力的すぎて、萎えることを忘れてしまったんだよ」
 耳元でそう告げて、その耳を食む。途端に少女の身体が震える。
「……っほめて、も…何も、出ないよ…」
 目の前に極上の体を差し出した状態で何も出ないと言われても説得力がない。
 ラハは少女の腰を浮かせると浅い角度で抽送を開始した。ゆるゆると抽送をしながら徐々に腰を上げて深くなるように調整していく。
 少女の喉を嬌声が震わせる。顔を枕に押し付けて声を抑えているようだが、抑えきれるはずもなくその様子がより一層水晶公の雄を刺激する。
 奥の奥をぐりぐりと刺激する。たまらず少女の腰も蠢く。もっとと要求するように少女の腰が内壁が水晶公自身を包み込み締め上げる。それに刺激されさらに熱と固さを増していく。
 内側からの刺激に耐えられぬように少女の喉から嬌声が断続的に漏れる。
「…ダメ…それ…っ!」
 吐き出すように喘ぎ声の間に声が漏れる。拒否を示す語句はその響きとは反対に甘い響きで艶を含んでいる。
 少女の尻尾の付け根にさわりと触れる。
「ひあぁぁ…」
 ぞくぞくとした快感が少女の中をより一層締め付ける。
 抽送は止めぬまま、尻尾の付け根から先までさわりさわりと触れていく。
「ダメッ……! っラハ、それ…ダメ……っあぁっ…!!」
 その尻尾の先を指でコリコリと弄ってやるとたまらず声が漏れ腰がさらに揺れ蠢く。ゆっくりなぞりながら尻尾の付け根まで戻ってくる指の動きに合わせて腰が揺らめく。
 ラハは腰の動きを一旦止め、彼女の腰の揺らめくさまを増長するようにその付け根を執拗にまさぐる。
「ひあっ…あっ……っあぅ……だ、めぇ…」
 もう片方の手で尻尾の先をコリコリといじりながらその先に優しくキスを落とす。ラハが動かなくとも断続的に少女の蠢く腰が抽送にも似た快感を与えてくる。
「ここが、いいのかい?」
「…ちがっ…! っあぅ…ダメ……」
 執拗に撫でて少女の腰を揺らめかせる。否定の言葉は艶めかしくその腰は彼自身を咥えたまま離そうとしない。
「…ここだけでこんなになってるのに?」
 尻尾の先をもてあそんでいた手で彼女の秘部の入り口をなぞる。ラハを咥え込んだままのそこは愛液を湛えぬらぬらと揺れ蠢いていた。
「ひあぅっ……あぁ…っ!」
 シーツを掴みかぶりを振るその姿を見下ろす。果敢に敵に向かって行くあの勇猛さはどこにも見えず、ただ快感に震える少女の姿がそこにはあった。
「ダメなのかい? じゃぁ、やめようか?」
 ぴたりと手を止める。急になくなった快感に少女からくぐもった声が上がる。それでも腰は快感を求めてゆらゆらと無意識に動いている。
「…っつ……ふぅ……」
 ゆらゆらと蠢くその動きが優しくラハの雄を刺激する。
「…気持ちいいのかい?」
「……ふぁ……?」
 問われた少女は少し気の抜けた声で返事を返す。まだ彼女の腰は蠢いている。
「自分で動いてくれるだなんて、情熱的じゃないか」
「……うごい、て…?」
 問われた少女はぼんやりと疑問を投げ返す。
「オレは動いてないよ?」
 揺れる尻尾の先にキスをする。ふるりと尻尾が震えてぶわっと毛が逆立った。
「ち、ちがうっ…! うごいてな」
 状況に気付いた彼女が言い切るより前に、ラハは自身を彼女の奥に押し付ける。途端に嬌声が漏れる。
「動いてなかった? ほんとに?」
 ぐりぐりと奥を刺激しながら意地悪く尋ねる。少女の内壁が強くラハを締め付ける。
「ひぅっ……あぅ……」
 奥の奥を刺激され少女の嬌声が強くなる。その思考を乱れさせるようにさらにくちゅりと音をさせ動かす。
 そして腰をピタリと止める。ラハの中の雄が少女の恥辱に塗れる姿を見たいとにやりと笑う。
「……ぁぅ……」
 恐る恐る肩越しに振り返る少女を見下ろす。恥ずかしさで頬が染まり垂れ下がった耳が愛らしい。
「……ラ、ハ?」
 ラハは無言で少女の尻尾の先に触れる。びくりと少女の身体が跳ねる。
 そのままゆっくりと少女の尻尾を愛撫しながら腰に向かって動かす。
「ああぁぁ…っ!」
 長い嬌声、跳ねた腰がそのままゆるゆると動き始める。
「ほら、動いてる」
 その尻尾にキスしながらラハは優しく告げる。
「…んっ……ちが…っ! んあぅ…!!」
 跳ねる腰は動きを止めることができない。尻尾の付け根まで下ろした指で優しく周囲を撫ぜる。
「ここがいいんだね、わかるよ」
 執拗に同じ場所を撫でる。長く高い嬌声がその喉を揺らす。
「ひあぁあぁぅ……っ!! ああぁあぁっ…!!」
 がくがくと揺れる腰が、締め付ける内壁が、ラハを刺激する。それだけで達してしまいそうな少女が達しきらないようにセーブをかける。
「ひぅ…あぁぁ……っ! ……ラ、ハぁ…っ!」
 切ないその声にラハ自身も高ぶりを感じる。その声だけで自身が熱を持つのがわかる。
「うん、うん。ここにいるよ」
 そっと尻尾の根元を撫でる。その動きに合わせて少女の腰が跳ねる。うねるようにラハを締め上げる。
「きもち、いいかい?」
 その尻尾の付け根から背中へ向かって水晶の指をなぞらせる。返答代わりの嬌声のあとに、少女はおずおずと首を縦に振る。
「そう、よかった」
 ラハは水晶の指を背中から尻尾の付け根へゆっくりと撫でながら戻す。
「…オレも、もっと気持ちよくなりたいんだ。いいかい?」
 その付け根の感じる場所を撫でながら尋ねる。少女は嬌声を上げ腰をくねらせながら、さっきよりもしっかりと首を縦に振る。
「…ありがとう。……いくよ」
 腰を掴んでグラインドを開始する。既にトロトロになった肉壁が再開された刺激に喜ぶようにラハに絡みつく。奥の奥に叩きつけるように何度も抽送を繰り返す。
「あぁっ…! あぁぁ…っ! あぁ…っ!!」
 艶を含んだ嬌声はどこまでも甘美な響きで鼓膜を震わせる。その動きの間にも少女は快楽に震え腰をくねらせる。
「……ハ……ラ、ハ……ラハ……っ」
 荒い息の間に何度か名前を呼ばれて腰の動きを緩くする。
 そっと手を伸ばしてその髪に触れる。さらさらとその髪を指先で弄ぶ。
「…大丈夫かい?」
「…ふ、ぅっ……ん……だい、じょぶ…」
 手を伸ばして頬に触れる。身体を前に倒したことでより深く繋がったその場所に少女のくぐもった声が響く。
 少女の手がシーツから離され、頬に添えられたラハの手に重なる。
「……っラハ…」
 切なくなるような甘い響きがラハの耳に届く。哀願してくるようなその声色に耳を傾ける。
「……ラ、ハ……きもち、いい…?」
 ぞくりと背筋に響く甘い囁き。奥の奥にラハを受け入れたまま、心を傾けてくれる少女の優しさに最後の理性が取り払われていくのがわかる。
 わざと音を立てるように腰を動かす。少女の喉から嬌声があがる。
「あぁ…あぁ、すごく、きもちいいよ」
 答える合間にもグラインドを早めていく。2人、追い上げられていくのがわかる。
 尻尾の付け根を強めに擦る。不規則な喘ぎ声に少女の喉が跳ねる。
「ああぁっ…あっ…あぁぁ…っ!!」
 少女も、ラハも、もう限界が近い。ひときわ強くグラインドをする。
「も…っ、出る…!!」
 少女の腰を両手で押さえ、その最奥に自身の欲望を預けていく。少女の内壁が強くラハを締め付けて飲み込んでいく。
 ゆっくりと少女の腰を下ろしながら、ラハは少女の上に倒れ込む。揃って肩で息をしながら互いの熱を感じている。
 そっと彼女の中から自身を引き抜いて気だるい体を少女の横に横たえる。
 投げだした手に少女の手がそっと重ねられる。
 顔を向ければ、優しい瞳がラハの赤い瞳を見つめている。
 そっとその頬に手を伸ばす。優しく撫でてそこにいる感触を確かめる。
「大丈夫、かい?」
「うん…大丈夫」
 頬を撫でるその感触にうっとりと目を細めながら少女は笑う。
「さすがに、もう、疲れた?」
「…年寄りにはもう限界さ」
 顔を見合わせて笑う。心は晴れやかだった。
「…あなたも疲れたろう…すこし、眠るといい」
 少しずつ瞼がおりかけていた少女にそう告げ、薄掛けの毛布をその身に被せる。
「…ラハ」
「うん?」
 とろりとした瞳でラハを見つめながら少女は言う。
「…ありがとう、大好きだよ」
「…私もさ」
 唇を重ねて2人抱き合って眠る。小さく瞬く星々だけが2人の様子を見守っていた。

――――――――――
2019.08.08.初出

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