【エメ光】思いを抱いて【記憶の彼方/欠片の記憶】

【エメ光】思いを抱いて【記憶の彼方/欠片の記憶】

 アム・アレーンの大罪喰い討伐に、普段ならなんだかんだと理由をつけて付いてくるエメトセルクが一度も姿を表さなかった。  視界の届く範囲にいるとつい目で追ってしまう私としては目的に集中できて有り難かったが…それほどまでに彼…

【エメ光】花は揺蕩う【記憶の彼方/欠片の記憶】

【エメ光】花は揺蕩う【記憶の彼方/欠片の記憶】

 思えば一体どれほどの時間を1人耐えていたのかと思う。  キタンナの洞窟で告げたように、生き残ったアシエンは3人いたが3人ともが全く同じ思いで事に当たっていたとは思えない。  少なくとも私は……失った同胞を取り戻すという…

【エメ光】見つめる夢幻【記憶の彼方/欠片の記憶】

【エメ光】見つめる夢幻【記憶の彼方/欠片の記憶】

どうしよう、どうして、どうしよう。 頭の中はずっとぐるぐるしてる。あぁ、考えることをやめたい。 すごく、すごく混乱してるのに、妙に冷えたもう1人の私がそれを見ているような感覚。 こうなると手は動いてても何かを作り上げるこ…

【エメ光】欲の果て

【エメ光】欲の果て

「…相変わらず死に急いでるな」  レイクランドの廃村の倉庫に押し込まれて固い木箱に押し付けられたまま、降りてくる声に顔を上げる。打ちつけられた木枠の隙間から漏れる光がふたつの人影をひとつにする。 「…うん」  背中に感じ…

【エメ光】瞳の向こう側【記憶の彼方/欠片の記憶1】

【エメ光】瞳の向こう側【記憶の彼方/欠片の記憶1】

 最初の印象は、「ぼんやりしているな」だった。  平凡、凡庸、朴訥、ありふれて一般的な、凡そ英雄などと呼ばれるにはふさわしくない様相に見えた。  近づいたのは利用する為。もののついでに、どれくらい統合が進んでいるのか確認…

【エメ光】別離の言葉は告げずに【尾を引く箒星9】

【エメ光】別離の言葉は告げずに【尾を引く箒星9】

仄暗い海底の底から愛を込めて  本当は、誰にも告げず、ひとりで進む予定だった。  少女は心配そうに覗き込むいくつもの顔の前で薄く微笑んだ。仮面をかぶれ。この気持ちを悟られるな。  体は光のエーテルの暴走で常に騒がしいのに…

【エメ光】揺蕩う午睡【尾を引く箒星8】

【エメ光】揺蕩う午睡【尾を引く箒星8】

 人の輪の中にあってなお、少女は薄い笑顔を讃えていた。  クリスタリウム、クリスタルタワー前広場にて。  星見の間から出てきた暁の面々はそれぞれに住人達に捕まっていた。出来上がる人の輪の真ん中で少女はいつもの調子で薄く笑…