【公光】羨望

【公光】羨望

 部屋主のいない室内に、くぐもった声が小さく響く。  整えられた室内の隅、整えられていたベッドのシーツはくしゃりと乱れ、枕に顔を埋めたまま半分フードの外れた水晶公は眉根を寄せて自身のオスに手をかけながら小さく息を漏らした…

尾を引く箒星

尾を引く箒星

―――――――――― 2019.08.24.初出 小説側で展開してる「尾を引く箒星」のイメージイラスト…になるのかこれ… (小説側はR18なので閲覧注意です) ネタバレが一切ない安心なイラスト…小説側はネタバレしかない……

【エメ光】旭日の支配【尾を引く箒星4】

【エメ光】旭日の支配【尾を引く箒星4】

 いつの間に眠っていたのか…少女は瞼に当たる朝日の感触で目を覚ました。遠くから鳥の鳴き声と小さく波音が聞こえる。  昨夜一体どうしたんだっけ? そう思案しながら瞳をゆっくり開いた少女は、大きな腕に抱きとめられた自身を認識…

【エメ光】闇然の懺悔【尾を引く箒星3】

【エメ光】闇然の懺悔【尾を引く箒星3】

「…やはり、英雄殿には奇妙な趣味があるのか?」  いつか聞いたセリフを聞いた気がして、少女はゆっくり瞳を開いた。 「…珍しいね…こんなところまで追いかけてくるなんて」  視線だけを移して少女は見下ろしてくるエメトセルクを…

【エメ光】尾を引く箒星 2

【エメ光】尾を引く箒星 2

 少女がぼんやりと目を開ける頃、空には星が瞬き夜の虫たちが静かに合唱をしていた。  ベッドの縁に座ったまま片手で少女の手のひらを弄びながら本を読んでいたエメトセルクは、少女が身じろいだのを感じ視線を本から動かした。ぼんや…

【エメ光】尾を引く箒星

【エメ光】尾を引く箒星

「英雄様には奇妙な趣味があるんだな」  硬い感触を感じながら、ぶっきらぼうに投げかけられた言葉に私は意識を揺り戻す。  硬い床の感触を頬に感じる。体が重い。頭がぼんやりと痛い。  這いつくばるように肘で上半身をかろうじて…

【公光】赤い瞳の思案

【公光】赤い瞳の思案

 ここはどこだろうか。  私は見知らぬ天井を見上げながらぼんやりと瞳を開ける。アーチ状の梁を見つめながら記憶を揺り戻そうとする。 「あ、目が覚めましたか?」  不意に横から声をかけられて思考を分断される。ゆっくりと顔を動…

【公光】群れの英雄

【公光】群れの英雄

「ふぅ……んっ……はぅ……」  ぴちゃぴちゃと淫らな水音。堪えくぐもる声。  ギシリと音を立てるベッド。重なり合う2つの影。  少女は恥ずかしげにミコッテ特有の耳を伏せながら、一心に目の前のいきり立つ欲望を舌で愛撫してい…

【エメ光】悲しみに沈む町

【エメ光】悲しみに沈む町

 アーモロート、この街はいつ来ても悲しみに沈んでいるね  世界があるべき姿に戻ってから幾日たっただろうか。  闇の戦士と呼ばれた私は、その日も1人海の底に沈む海底都市に来ていた。  あの男が作った幻影都市アーモロートは、…

【エメ光】残滓

【エメ光】残滓

 名前を呼ばれた気がした。  懐かしい名前、今はもう呼ぶ人もいない呼び声。 「…………ク…………ト………ク…!」  ゆさゆさと揺さぶられる感覚に、目を開ける。  目の前に眉根を少し寄せて心配そうな顔をした少女の顔があった…