部屋主のいない室内に、くぐもった声が小さく響く。
 整えられた室内の隅、整えられていたベッドのシーツはくしゃりと乱れ、枕に顔を埋めたまま半分フードの外れた水晶公は眉根を寄せて自身のオスに手をかけながら小さく息を漏らした。
(あー…最悪だ、オレ…)
 部屋の持ち主である金の髪のミコッテの少女の香りを感じながら、水晶公は自身の状態にため息をついた。
 少女は今この部屋にはいない。いないのはわかっていてここにきた。もちろんこんな風に一方的に自分の欲を満たすために来たわけではないのだが…
(部屋の中…なにか…おかしい…?)
 差し入れと手紙を置いて去ろうとした水晶公の鼻に不思議な香りが届く。匂いの元を辿り部屋の隅ベッドのあたりからするということはわかったのだが…そうわかった次の瞬間には無意識のうちに主張を始めた自身に気付き、腰の奥から突き上げる様に起こる自身の欲に逆らいきれずベッドの傍に膝をついた。
 どくどくと早鐘を打つ胸と荒くなる息、チカチカと明滅を繰り返し始める視界にくらくらする。収めようと大きく息を吸い込むほど、その香りを吸い込んでしまい悪循環に陥る。
 遠い昔に嗅いだ記憶のあるキャットニップにも近い…それよりももっと濃い香りに混ざるように少女の甘い花のような香りが鼻に届く。
 少女の香りを感じようと無意識のうちに水晶公は枕に顔を埋めた。大きく息を吸いこんで鼻腔いっぱいに少女の香りを感じ胸が高鳴る。
 一番の憧れだったその存在が自身の庇護下にあるという事実を再確認し、くらくらと脳が揺れる。
 もぞりと水晶化した右腕をいきり勃つ自身に添える。ひんやりとした自分の指の感覚にぞくりと腰が蠢く。
(…こんなこと、してはいけないのに…)
 押しとどめようとする理性がうまく働かない。ぼんやりとする頭の中核が刺激を求めて理性を押しとどめようとする。
 胸いっぱいに吸い込んだ少女の香りに触発されて、自身の熱と硬さが増していくのがわかる。
 ゆっくりと緩慢とした動きで水晶の腕が上下に動き始める。
「……っう……ふっ……」
 くらくらと脳が揺れる。ほんの少し触れただけなのにガチガチになったそこはぬるぬると先走りの汁を垂らし始める。
 刺激に耐えかねて深く呼吸すれば少女の香りと不思議な香りが混じったゆったりした空気が、水晶公をさらに高める。
(…ずっと、それどころじゃなかったから、してなかったし…これ、ヤバイ、かも…)
 自身を掻く腕を止めることができない。ぽてりと顎をベッドの縁に乗せるとそのフードがぱさりと落ちる。熱に浮かされた赤い瞳がぼんやりと壁を見つめる。
(あー…ダメだって、わかってるのに)
 腕が止められない、芯がピリピリする。何度も香りを吸い込んでくらくらする…。
「そんなに、気持ちいいの?」
 ついに幻聴まで聞こえてきた。はは、と乾いた笑いを浮かべて水晶公は瞳を閉じる。
「あぁ…気持ち、いいよ」
 誰もいない部屋に水晶公の声が響く…はずだった。
「…手伝って、あげよっか?」
 背後から声がして水晶公は慌てて振り向く。熱に浮かされた瞳に、金の髪が飛び込んでくる。
 まさに真後ろまで迫った上に水晶公のいきり勃つ自身に向かって腕を伸ばしている少女から逃げるように慌てて立ち上がり勢いよくベッドの上に尻餅をつく。
「な…なな……い、いつから!?」
 ローブの裾を慌てて引き下げながら腕を伸ばし少女を押しとどめようとする水晶公に、少女はもう一歩近づく。水晶化していない突き出された左手に自身の指を絡め少女はあっけらかんと告げる。
「……ベッドの前に崩れ落ちたあたりから?」
「ほ、ほぼほぼ最初からじゃないか!!」
 真っ赤な瞳を見開いて大きく叫んだ水晶公はうっかりそのまま大きく息を吸い込み、うっと下を向く。
 驚きで一瞬飛びかけたが、まだ不思議な香りは漂っているし、近く鮮やかになった少女の香りがより鮮烈に鼻腔をくすぐってくる。
 どくどくと早鐘を打つ胸を押さえて、水晶公は顔を上げる。目と鼻の先に迫った少女の耳がぴこぴこと嬉しそうに動いている。
「…っあなた、は…大丈夫なのかい…?」
「……?」
 一瞬首を捻った少女は、何かに気づいたようにあっと声を上げた。
「あ、あぁー…床に精油を盛大にこぼしちゃったんだよね…」
 私は平気だけど…と付け加えたところで、少女が絡めた指がもぞりと動く。反対の手で頬を撫でられ思わず肩を竦める。
 もう一歩、少女が水晶公に近づく。吐息がかかるほどの近さで少女が艶めかしく笑う。きゅっと少女が繋いだ指に力が入る。
 頬を撫でていた手がするりと水晶公の股の間を目指すのを、水晶公はすんでのところで止める。
「ななな、なにを」
「辛そうだったから、手伝おうかなって」
 じりじりとお互いに一進一退の攻防を続けながら少女がにこりと笑う。
「…ラハ、力、入ってないよ」
「っその名は…っ!!」
 抗議の声を上げるより早く、ローブの上から少女の細い指が未だいきり勃つ水晶公自身を掴む。
「…わ……」
 小さく少女は声を上げて、その形を確認するように握ってはスルスルと動かす。
「っま…っ! だめ、だっ!」
 少女の手の中でびくびくと跳ねた水晶公の先端からどろりと性が溢れる。
「わ、わわっ」
 少女が驚いてぱっと手を離す。絡めている水晶公の指が強く少女の指にすがりつく。
「…っふ…」
「だ、大丈夫…?」
 おどおどと心配そうに少女が声をかけてくる。
「あ、あぁ…平気だ。平気だから…」
 水晶公はローブを捲ろうとする少女の手を阻止しようと息を切らしながらローブの端を押さえつける。
「平気だから…ローブを捲ろうとするのをやめたまえ…!」
「だってそのままにしとけないでしょ?」
 それはまさしくその通りである。だが。
「だからと言ってローブを捲られる趣味はないのだよ…!」
 抵抗に業を煮やした少女が半ば強引に繋いだままの手を力強く押す。体勢を崩した水晶公はそのままベッドに倒れ込んだ。
 すかさず、少女の手がローブを捲り上げる。
「わぷっ!?」
 勢いよく捲られたローブが水晶公の視界を塞ぐ。そのすきに、と少女が水晶公の肌着に手をかける。水晶公が抵抗するより早く、あっさりと下着は剥ぎ取られまだ熱と硬さを持ちながらもどろりと白濁液に塗れた水晶公自身が少女の目の前に姿を露わす。
「ちょ…っ、まつんだ!!」
 繋がれたままの腕は動かせずもう片方の手でローブをかき分け少女を止めようとする水晶公より早く、少女の唇が水晶公自身に触れた。その柔らかい感触にびくりと大きく震える。
軽く何度も口づけを落としてくる少女の頭に水晶公の腕が止めようと降りてくる。思っていたよりも柔らかい髪の毛の感触にその指がピクリと震える。
「…っつ…やめ…」
 引きはがそうとする腕に力が入らない。何度も指先でなぞられ口づけられた水晶公自身が一度出したばかりだと感じさせないほど熱と硬さを増していく。少女はそれに嬉しそうに口づけを降らせ続ける。
「…ラハのここ、すごいね。もっかい出そう」
 少女が舌先でちろりとその先端を舐める。それだけで腰の奥がぞわりと産毛立つ。その反応に気を良くした少女がさらにしっかりと水晶公のそれに舌を這わせる。
「…っふ…だめ、だ…っ!」
 上機嫌で舌を這わせ舐めとる少女を水晶公は強く押し返す。渋々といった感じで口を離した少女は真っ赤な舌先で唇をなめとりながら艶めかしく水晶公を見つめた。
「……これ以上は、ダメだ…」
 下を向いたまま目を合わせずに言い放つその真剣な声に、少女が水晶公の前にぺたりと座り込んで首をかしげる。
 息を吸い込むたびに頭の奥がグラグラと揺れる。まばらになる思考を必死にかき集める。
「止まれなくなる…」
 あなたを傷つけたくないんだ、そう呟く水晶公の腕に少女の指がそっと触れた。
「ラハ」
「あなたが大切なんだ。傷つけたくないし、束縛したくない。あなたにはどこまでも自由であってほしいんだ」
 堰を切ったかのように言葉が溢れる。相変わらず頭の中は揺れているし、体だって熱を保ち続けている。
「…ラハ」
「あなたの冒険の話をもっと聞きたいんだ、あの共に旅した日よりも鮮烈な旅の話を聞かせてほしいんだ」
 思考がまとまらない。ただ心の内をさらけ出すことしかできない。ただあなたが大切だから、傷つけたくないから…これ以上は本当に止まれなくなってしまうから。
「ねぇ、ラハ。聞いて」
 視界がにじむ。熱に浮かされた状態で耳に届く少女の声はどこまでも優しくのびやかだった。
 顔を上げた水晶公と目線を合わせて、少女は金の髪を揺らして笑った。
「あなたが私を大切にして思ってくれていること、すごくうれしいよ。私もね、ラハのことがすごく大切なの」
 大切だと告げられて胸が締め付けられる。自分が泣きそうな顔をしていることがわかる。
「ラハが途方もない時間の末に私を探してくれたことを知っている」
 でもね、と少女は続ける。
「あなたほど長い時間じゃない、それでも、私もあなたがいつか目覚めることを信じて…まっていたんだよ」
 少女の指が優しくあやすように水晶公の腕を撫でる。繋いだままの手をさらにきゅっと握りしめる。
「……私だって、1人の恋する女の子なんだよ」
 恥ずかしそうに微笑む少女の顔が眩しく輝く。告げられた愛の告白に胸がいっぱいになる。
 少女の手が水晶の腕をつたい彼の頬に添えられる。
「…ねぇ、ラハの大切は、私の好きって気持ちと同じかな?」
 早鐘を打つ鼓動の音が体中に響いてるのを感じながら、水晶公は困ったように笑う。
「どう…だろう。同じだと、嬉しい」
 少女の顔がずいっとラハの顔に近づく。動けば触れ合いそうなほど近い距離で少女が小さく囁く。
「…キス、してもいい?」
 断る理由などなかった。どちらともなく唇を重ね合わせる。熱に浮かされた脳の奥がもっとと少女を求めているのがわかる。
 肩に回していた水晶公の手が少女の背中に回される。熱に浮かされて加減の出来ないその腕が強く少女を抱き寄せる。
 長い口づけから唇を離す。お互いの頬が恥ずかしげに赤く染まっていることに顔を見合わせてほほ笑む。
「止まらないでほしいな。あの頃と同じように、前を向いて」
「…傷、つけてしまうかもよ?」
 水晶公の耳が不安そうに揺れる。
「いいよ。ラハがくれるもの全部、ちょうだい」
 くらくらと芯が熱く揺らめくのがわかる。止まれないからね、ともう一度念を押されて少女は恥ずかしそうに笑いながら頷いた。

 部屋の中には二人分の影。間接照明の灯りを受けてゆらゆらと揺れている。
 くぐもった声と水音が部屋を支配している。
 裸のまま抱き合った二人の秘部は繋がり艶やかに濡れそぼっていた。
 止まれない、そう告げた言葉通りに水晶公は少女の奥めがけて、何度自身の欲を注ぎこんだのだろうか。くらくらと痺れたままの脳内は数えることを諦めて目の前の甘美な少女に食らいついた。
 恥ずかし気に手を口に当てて少女は何度もかぶりを振る。
「……っラハ…! っああぁぁ…!」
 抱きしめあったまま何度も腰を打ち付ける。自分のどこにこんな獣じみた欲望があったのかと驚きが隠せない。叩きつけられる欲望を快楽に変換して少女は水晶公の腕の中で何度も震える。
 ぱちゅりぱちゅりと淫靡な水音が部屋中に響き渡る。その音だけで背筋がぞくぞくする。
深く角度をつけて早いグラインドで二人追い込んでいく。
「ラハ…っラハ…っ!!」
 その動きに少女がうわ言のように名前を呼ぶ。呼ばれるたびにあの日の自分がもっとと声を上げる。
「…っく……出すよっ…!」
 かぶりを振ったまま頷いた少女の最奥に欲望を叩きつける。体を反らせてびくびくと震える少女の内側が強く水晶公自身を締め付ける。
 深く深く繋がったまま、水晶公は少女の肩口に顔を埋める。大きく息を吸い込めば甘い花にも似た少女の香りで胸がいっぱいになる。その香りに触発されて、少女の中で水晶公がどくりと蠢く。
 そっと少女の手が水晶公の頭を撫でる。あやすように撫でてられるその手に擦り寄る。
 まだ肩で息をする少女の首筋をちろりと舌で舐める。びくりと水晶公の下で跳ねるように震える少女が愛らしい。
「……っふ……っや、ぁっ…!」
 小さくびくびくと震えながら可愛らしい声を上げる少女の様子に自然と口角が上がる。
 そっと顔を上げ、唇を重ねあう。少女の舌が求めるように水晶公に差し出される。その舌を絡めて吸い上げればさらにびくびくと少女が震える。その様子に水晶公は上機嫌になる。
 何度も絶頂させられて、小さな刺激すら快楽に変わる少女の姿を唇を離した水晶公は見下ろす。恥ずかしげに手の甲で口を覆いながら頬を赤く染める姿に、繋がったままの水晶公がまた大きくなるのを感じる。
「……っ!」
 腹の内側からぐいっと圧迫される感覚に少女が困惑の表情を浮かべる。
「……まだ、大きく、なるの…?」
 混乱するような声色で見上げてくる少女に、水晶公は苦笑する。
「…そう…みたい」
 硬さを増していく自身を少女の奥の奥にずいっと押し込む。少女の体がびくりと反り上がる。
「…っあぁ…」
 呼吸を吐き出しながら小さく呻くような喘ぎ声が上がる。その声すら彼自身を大きくさせるための起爆剤になる。
「…っふ……ラハ…まっ、て…っあぅ…」
 ゆるゆると腰を動かす水晶公に少女が待ったをかける。
「止まれないよ?」
「ちが…腰…」
 少女の手が股関節を撫でている。
「あぁ…すまない」
 正常位で何度もするのは男性としては楽だが、しがみつく女性側はどうしても腰や股関節に疲労が蓄積する。
 上半身を起こした水晶公は、さてどうしようかと思案しながら一度自身を少女の中から引き抜く。
「……んぅっ…」
 ぬちゃりと音を立てて少女の中から引き抜かれた水晶公自身が、間接照明の明かりをぬらりとあやしく反射する。少女の胎内から掻き出された二人分の愛液がとろりと股を濡らしていく。
 少女をくるりとうつ伏せにして、その尻の間にぴとりと自身を押しつけながら水晶公は少女に尋ねる。
「こっちなら…辛くない?」
 少女の耳がぴこりと動いて恥ずかしそうに伏せられる。
「…うん、たぶん、平気」
 少女の様子に嬉しそうに目を細めながら、水晶公は少女の秘部に指を這わせる。びくりと震える少女の体の動きに合わせるように、秘部からさらにこぷりと愛液が溢れる。それを指で掬い取りゆるゆると割れ目全体を撫でる。
「……っあぁ……っふぅ……」
 先程までの直接的な快感とは違うぞわぞわとした感覚に少女の口から声が漏れる。
 ゆっくりと水晶公のなぞる指が動き少女の尻の孔にさわりと触れる。びくりと跳ねた少女が水晶公を振り返る。
「……いいね、可愛い反応だ」
 気を良くした水晶公は蜜壺から愛液を掬っては尻の孔に塗りたくっていく。
「…あぁっ……だ、ダメ…そこは……」
 くちくちと音をさせそのひだに愛液を塗り込んだ水晶公の指がゆっくりと侵入してくる。
「っひあぅっ…!ラ、ハっ…!!」
 ぞくりとするほど甘い少女の声が脳を刺激する。
 体をひねって逃れようとする少女を押しとどめるように体を乗せて動きを封じる。
 にちゅりと音を立てて浅い入り口で抜き差しをすれば少女の体が震える。
「ちょっと入れただけで、こんなになってるよ」
 尻の孔から引き抜いた指で秘部の入り口をなぞれば、新たに生み出された愛液でぬるぬるになっていた。
「こっちも好きなんだね?」
 わざと尋ねる物言いで語りかけながら、また蜜壺から愛液を運び今度はさっきより深く尻の孔に指を埋め込んでいく。
「っああぁぁっ!! …ダ、メぇっ…!!」
 さしたる抵抗もなく埋め込まれた指を少女の中で蠢かせれば腰が跳ねる。ダメという言葉とは裏腹に少女のそこは指をきゅっと締め付け離そうとしない。
「…かわいいよ」
 その耳に口づけを振らせる。指をゆっくり抜き差ししながら少女の体が跳ねるのを見下ろす。
 指を引き抜き、愛液を塗りつけ、また深く指を入れ込む。何度もその動きを繰り返す。
入り口がほぐれたのを確認した水晶公は、少女の孔に自身の先端をぴとりと押し当てる。
「っひぁ…! だ、ダメだよっ…ほんとに、そこは…!!」
「ごめんな、もう止まれない」
 返事を待たずに水晶公のオスが少女の尻の孔を割り開いて侵入してくる。
 にちりと淫靡な音を立ててゆっくりと侵入するそれに、少女の腰が反り喉が震える。
「っああぁぁ…あぁっ…ラハぁ……っ!!」
 長く尾を引く嬌声が艶やかに部屋にこだまする。気を良くしながらまた一歩少女の中に歩みを進める。
 さしたる抵抗もなく半分ほど埋め込まれた水晶公自身はそこでぴたりと動きを止める。
 荒い呼吸を繰り返す少女の尻尾の付け根にさわりと触れる。
「ひゃうっ!!」
 びくりと跳ねた少女の体に反動でずぷりと水晶公が埋め込まれていく。何度も何度も尻尾の付け根を執拗に撫でれば、その度に腰が跳ね水晶公のオスを優しく締め付けてくる。跳ねる動きに合わせて水晶公は腰を進め奥の奥まで自身を埋め込んだ。
「ほら、全部入ったよ」
 水晶公の形に広がった尻の孔のひだをゆるゆると撫でれば少女の口からくぐもった声が上がる。
 ゆさりと揺すれば長いため息のような喘ぎ声が漏れる。
「動くよ」
 ゆっくりと中をかき混ぜるように揺らしてから、水晶公は抽送を始める。
「っああぁぁっ!! っあぅ…っんぁぁ…っ!!」
 引き抜いて押し込む動作に合わせるように少女の喉が震え嬌声が絶え間無く喉を揺らす。
 少女の中は暖かく、何度もきゅうきゅうと締め付けて水晶公の形を確認する。
 受け入れるための場所ではない奥を何度も穿たれて少女の背が何度も反り返る。
「…っああぁ…! …っそこ…ダメぇ…っ!!」
 何度も奥を叩くと少女がいやいやとかぶりを振る。
「…ここがいいんだ」
 声に導かれるように少女の奥を何度も自身の欲望で突く。少女がそのたびに震えきつく水晶公のオスを締めあげる。
「っやあぁぁっ…! ラハ、ダメ……っおかし、く…」
 与えられる刺激が強すぎるのか少女の中が痙攣するように水晶公を締め付ける。かぶりを振る少女の口から漏れる声が熱だけ増していく。
 ゆさりゆさりと揺さぶられるたびに漏れる嬌声から少女の余裕がなくなっているのがわかる。
「…っふぁ…ああぁぁぁ…っ、ひあぅっ…ダメ…ラハぁ…っ!」
「…っオレ、も…っ!」
 きつく締められる刺激で水晶公自身にももう余裕はなかった。何度も性を放ち敏感になっている水晶公自身も限界を迎えつつあった。
 強く腰を掴み奥の奥に叩きつけるように何度もグラインドする。
 目の前がチカチカする。喉の奥がチリチリと乾き腰の奥から湧き上がる快感に抗えなくなる。
「やあぁぁっ…っ!!」
 かぶりを振った少女の背中が強く仰け反る。少女の内壁が水晶公自身を強く締め付ける。その感覚に抗わず水晶公も自身の欲望を少女の中に吐き出した。あれほど出したというのに収まりきらないほどの量を少女に注ぎ込む。
 ゆっくりと少女の尻の孔から自身を抜き取る。こぷりと収まり切らなかった性が少女の尻を汚した。
 倒れこむように少女の横に水晶公が身を横たえる。肩で息をしたまま視線を交わらせる。
「…流石に…もう、無理、かな…」
「…私も、もう……」
 荒い息を抑えて水晶公は少女の体をそっと抱きしめる。とろりと少し眠そうな瞼に唇を落とす。
「…少し、眠ると、いい…」
「ラハも、ね…」
 少女の手が水晶公の腰に回される。二人、静かに瞳を閉じた。

「そういえば」
 翌朝。
 朝食代わりにオレンジジュースを飲みながら水晶公は少女に尋ねる。
 窓の外は今日も快晴。心地よい風が二人の頬をかすめていった。
「精油なんて何に使うつもりだったんだい?」
 向かい合うように座ってお行儀良くジュースを飲んでいた少女の目線が泳ぐ。こういう時は大体良からぬことを企んでいた時だ。
「…いや〜…あはは…」
「今度は一体何をする気だったんだ…」
 ことりとグラスを机の上に置いて照れくさそうに笑いながら少女は話す。
「いやぁ…公が最近またお疲れって聞いちゃってさ…こう、スカッとできそうな、ね?サシェとか、作れるかなーって」
 もちろん水晶公の目は見ていない。水晶公は少女の言葉に絶句する。
「…しばらく原初世界に戻ると、聞いていたのだが…?」
「戻ってキャットニップ取ってきたんだよ。こっちにはないから」
「キャットニップ……って待ちたまえ! 私は猫ではないぞ!?」
 水晶公は少女の言葉に真っ向から反論する。
「猫だなんて思ってないよ。ただ…その…ねぇ」
 バツが悪そうにモジモジと少女が俯く。
「???」
 首をひねる水晶公の様子に少女の頬が赤くなる。
「…発情期、なのかな、って」
「は、つじょ…」
 今度は水晶公が真っ赤になる番だった。
 大きくため息をついてその手で顔を覆いながら恥ずかしそうに水晶公は呟く。
「つまり…君の手のひらで踊ってたということか…」
「踊らされたのは私の気もするけどね…」
 ついっと少女の顔の目の前に水晶公が顔を寄せる。
「俺の腰のリズムで?」
 赤い魔眼が少女を見つめている。
「……バカ」
 二人顔を赤くしてクスリと笑い合いどちらともなく口づけを交わす。
 闇の払われた青空に白い鳥が羽ばたいて消えていった。

――――――――――
2019.08.27.初出

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