避けていた。あからさまに避けていた。 二人に散々いいようにされてから、二人の顔が見れない。 逃げているってわかってる。迂闊だったのも、煽ったのも、悪いのもオレだ。 それでもオレは逃げるしかない。戦うことでしかここ…
【エメ光公】吠える狼は牙を持たない【手触り5】
されど狼は月に吠える 牙を剥くその月に向かって 「お前は学習能力がないのか」 かけられた声に答える声はない。 英雄のために設えた部屋の真ん中で、闇の手に絡め取られた英雄が喉を唸らせて吠えた。その耳は立ち尾はぶわり…
【光公】求めず与えず受容する【手触り4】
英雄は伸ばす腕を持たず レイクランドに罪喰いの不可解な襲撃があったその日、水晶公は英雄の自室の前にいた。 クリスタリウムの防備に集中していてタワーから離れられなかった水晶公に、レイクランドの前線で戦ってくれていたか…
【エメ光】生きるために死んでいく【手触り3】
物言わぬ英雄は前すら見据えない。 その英雄を見つけたのは、ムジカ・ユニバーサリの上空に梁のように備え付けられた天井回廊の上だった。まるで人を避けるようにふらふらと覚束ない足取りで歩く英雄は、罪喰いたちの不自然な襲撃と…
【公光】手触り【手触り2】
「おかえりなさい」 クリスタリウムに戻って早々に部屋で休め! と居住館に押し込められたものの、そう言えばマーケットを覗いておきたいのだったとするりとドアを抜け出して。管理人さんに直ぐに戻るよとだけ声をかけてペンダント居…
【エメ光】手触り
「…あなた、そのクセまだ治ってなかったの?」 スリザーバウで久方ぶりにヤ・シュトラと再開した闇の戦士とそのご一行は今後の方針を彼女の自室で話し合っていた。 互いの持つ情報を交換していたのだが、当の本人であるミコッテ族…