【エメ光】底の箱庭

【エメ光】底の箱庭

 どこまでも暗く静かな揺蕩う波音に身を預け、少女はただぼんやりとそこにあった。  少し白くなった唇を指でなぞりながらエメトセルクは目の前の英雄と呼ばれていた少女を見つめていた。  時の流れさえ止まったかのようにただそこに…

【エメ光】輝き堕ちてなお

【エメ光】輝き堕ちてなお

 あつい、あつくて、さむい。真っ白で、真っ暗。何も見えない、聞こえない、聞きたくない。  揺り起こさないで、ここから出たくない。私は、私はーーー…  ほんの一瞬の出来事だった。  仲間を、人を、世界を、護りたいと願い歩ん…

【エメ光】その愛の名は 2

【エメ光】その愛の名は 2

 そこに在るだけで、世界は滅びに向かっていく。強い光はもう世界に影を落とさせない。 「お前はここに居るだけでいい。やりたいことがあるなら、それをすればいい。わたしはお前に強要はしない。」  エメトセルクは海底都市アーモロ…

【エメ光】その愛の名は

【エメ光】その愛の名は

 アガペー 無償の愛 何よりも優遇される愛  あぁ、あの強く儚く美しいものを形容するのにこれ以上に相応しい言葉があるのであろうか  何度地に落ちても、なんど膝をついても、何度挫けようとも  ただ人のために立ち上がり、ただ…